突発的な怒りを兵器化したもの。
ザヴァラはEDZ付近の荒々しい渓谷の近くにスパローから飛び降りた。低地の近くで、カバル・リージョナリーが小さなシャトルに寄りかかっているのが見える。近くに監視態勢のサイオンが立っている。「お前がザヴァラか?」リージョナリーが呼びかける。ザヴァラは失礼な対応を気にしないようにした。「ザヴァラ司令官だ」と、彼は返事をした。リージョナリーは目を細めてゆっくりと頷いた。「確認したくてな」と答えた。「警備上の問題だ」「さっさと終わらせよう」リージョナリーが太い指でサイオンを差した。「このサイオンがお前に質問をする。お前は答えを言う。その答えを私が女帝カイアトルに伝えて、終わりだ」「どんな質問だ?」ザヴァラが尋ねる。リージョナリーは肩をすくめる。「サイオンと女帝カイアトルしか知らない。それが一番安全だからだ」ザヴァラは警戒しながらサイオンに近づく。単眼で見つめられたザヴァラの耳が鳴る。ピストルに手をかけたその時、鮮明に再現されたある光景が頭をよぎった。ザヴァラは夢見る都市を見た。カバルの船が空にあふれ、油まみれの煙を吐き出していた。突如、爆発が起きた――暴力的なほど赤く、惑星の殺人者への怒りを露わにする黒色が混じった爆発の連続。破壊者は少数精鋭で、目の前の任務をこなすのに十分な大きさだ。彼は夢見る都市にいる者たちがクリスタルの宮殿にうつ伏せで死んでいる姿を見た。マラ・ソヴ、ペトラ・ベンジ、コルセア、無数のアウォークン。そして巻き添えになった多くの者たち。クレーターの底には、クリスタルに捕らわれたハイヴの神が、最も弱体化した瞬間を狙われ、その身体は粉々に砕かれていた。お決まりの欺瞞を永遠に封じられて。そして、恐らくだが、規模の小さな戦争が起きた。後ろには血塗られた2組の手が見える。平和のためなら犠牲をいとわない、2組の手。「断る」ザヴァラがサイオンの眼差しから目をそらすと、先ほどの光景が急に消えた。リージョナリーが唸った。「それがお前の答えか?」ザヴァラは平静を取り戻した。「私は断ると言ったんだ」とハッキリ言った。リージョナリーは頷いた。「いいだろう」と返事をし、サイオンから半歩下がった。サイオンは手首に設置された小さなスクリーンにコードを入力した。短い機械音、鈍い弾けるような音が鳴り、サイオンは地面に倒れ込み、頭の傷から血を流した。ザヴァラは再び武器に手を伸ばしたが、リージョナリーは笑って手を上げた。「志願したものはこうなることを分かった上で引き受けた。これでお前と女帝以外に質問を知るものはいない。それが一番安全だからな」「さて、答えを伝えに行かないとな」カバルはシャトルに乗り込みながらそう言った。「お前の判断が間違っていないことを祈る!」船は空へ飛び立ち、ジェットの風圧によってザヴァラのブーツをサイオンの血が汚した。
※計算式不明瞭につき大雑把な値です
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