Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

炎と誕生の舞いの輪に加われ。

彼女はシグナルロックを待っていた。手には操縦桿が軽く握られている。後方には太陽が見えていた。トレスティンの視界は朦朧とし、遠くで輝く可能性の光にまで広がっていた。側面から照らす星明かりが、宇宙に彼女のジャンプシップの影を投げかけている。それは現実であり、それ以外の何物でもなかった。
眼下には水星が見え、熟した果肉に包まれた黒い穴のように、太陽風の嵐の中に埋没している。彼女が戻ってきたのは数年ぶりだった。これまでに何度も試練に挑み、長くに渡ってクルーシブルに参加してきたことで、死に対する彼女の興味は満たされていた。もはや何一つとして関係はなかった。月のあとでは。もう終わりだ。終局の時は近い。
トレスティンの帰還は準備の口実だった。ある意味では、結末を探すための生前葬でもあった。彼女は野獣達の群れの装いの下に存在する深刻さという理不尽な解離の中に隠された意味、つまりその回廊に鳴り響く言葉の中の真実を理解し始めていた。これで終わりだ。安らぎの時が訪れた。
「セイント14にずっと見られることになるが、気にする必要はない」と言うと、サッジは色あせた紫色のリボンをガントレットに結びつけて指をほぐした。
「気になんてしていない」とトレスティンは言おうとしたが、言葉を発する前にヤラの声が割って入った。
「グズグズするな。私たちは暗黒の手前に引かれたか細い境界線だ。私たちはガーディアンだ。退路などない」
か細い線。真っ先に闇に飲み込まれる線。退路はない。
燃える神殿… ロック… トランスマット展開…