Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

生存は勇敢さと同義である。

ヴリスクは同胞である船員の死体の下で1時間超寝そべっていた。エーテル不足による鈍痛が身体中に響いたが、呼吸器を使おうとして発見されてしまう危険に比べればまだ我慢ができた。
そもそも、生き残りさえすれば、今ある分だけで飢えを何回でも満たすことができるだろう。
奇襲を食らったのは、クリリックスと共に彼らのケッチの降着装置を調整していた時だった。クリリックスは最初の一斉射撃で長距離スカウトライフルの弾に撃ち抜かれ、その胸には拳大の穴が空いた。そして血みどろの状態でヴリスクの上に倒れこみ、彼らの位置には火力の雨が降り注いだ。
ヴリスクはレッチの肉体をどかし、そのアークスピアを掴んで反撃に出ることもできた。だが、彼は代わりに死に行く仲間の下で息を殺し、戦いの終わりを待つことにした。
撃ち合いが止むと、襲撃者たちが船を略奪する音がヴリスクの耳に届く。カバルのドスの効いた怒鳴り声と聞きなれたエリクスニーの顎をカチカチ鳴らす話し声の組み合わせを聞く限りでは、敵は有能な船乗り集団であるらしく、目を覚ました船泥棒が懸けた賞金を手に入れるつもりのようだ。
だが、ヴリスクは彼らの探すレリックがケッチ船内どころか同じ惑星にさえないことを知っていた。あれは火星のはるか向こうに拡がる小惑星帯、その奥深くにある隠れ家に隠されていた。ヴリスクは、勇気を出して今いる隠れ場所から抜け出すことができたら、自らレリックをエラミスケル本人に渡して報酬を独り占めにするつもりだった。
だがまだその時ではない。ドレッグは死した仲間の重さと温かさに包まれながら、これからのより良い日々を夢見て静かにまどろんだ。