Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

時として慈悲が悪となる事もある。

猛獣使いアラークスは、自分の足元にひざまずくドレッグを見下ろした。その2本の腕は広げられ、嘆願の意があることをを示している。
「お許しを」とドレッグはぜえぜえと疲弊した声で言う。
ドレッグは叱咤された動物のごとく、ひいひいと鳴きながら懇願していた。彼女が従えるウォービーストでさえ、これほどまでに哀れな真似はしない。
沈黙が流れ、アラークスのケッチの聞き慣れた鼓動と、彼女の背の向こうでまどろむウォービーストのかさついた寝息だけが響く。
アラークスは自分の呼吸器を爪で軽く叩き、フンと息を鳴らして首を横に振った。この海賊王が指を鳴らし、ウォービーストが目を覚ます様子を見て、ドレッグは震えだす。ウォービーストたちはゆっくりと立ち上がり、気だるげに足を伸ばしてから主の傍へとやってきた。
「エウロパにあった物資はお前の無能さによって失われた」アラークスはドレッグに言った。「これでミスラークスは我々を狙ってくる」
わずかな明かりに照らされ、ウォービーストの牙が煌めく。鉤爪が格子の床をひっかく。その外皮にはアラークスの戦旗の印が刻まれていた。彼らは忠実であり、空腹であった。
「お慈悲を」ドレッグはささやく。彼は何も言わずに震える。
「プリディスよ、これこそが慈悲だ」アラークスは言った。彼女は声を落としてこう続けた。「お前は私と違ってミスラークスを知らん。奴には慈悲も容赦もない」
アラークスはシューッと鋭く息を吐く音を立てて群れに命令を送り、4本の腕を胸元で交差させる。ウォービーストたちはゆっくりと前に出た。その口元がよだれを垂らしながら大きく割れる。