「この休戦協定を結ぶ条件はただ一つ。鉄の豪傑が協定を遵守することだ」――サラディン卿
壁にかかったアナログタイマーが、カチカチと時を刻んでいる。圧力計が100パーセントに達した時、タイマーが最後にもう一度カチッと鳴り、ハンガーベイのエアロックが開いた。サラディン卿はヘルメットを脇に抱え、中へ入っていく。壁に飾られた青と白のバナーに、カイアトルの帝国、カバルの権勢の記章があしらわれている。青いアーマーを着た2人組のファランクスが入口でライフルを掲げ、サラディンを迎える。しかし鉄の豪傑は一瞥もくれずに通り過ぎた。ファランクスはゆっくりとライフルを下ろし、ハンガーの反対側からやってくる重装備のバルスのほうを向く。「1人でここへ?」バルス・オロークが、ヘルメットを脱ごうと手を伸ばしながら声を轟かせる。封止具が外れると同時に、加圧されたシューシューという音が漏れる。「勇敢だな、司令官」「鉄の豪傑」サラディンは相手との距離を縮めながら訂正する。「私は鉄の豪傑だ」バルス・オロークは立ち止まり、目を細めてサラディンを見下ろす。「鉄の豪傑サラディン」彼は歯ぎしりしながらその言い慣れない言葉を試す。「勇敢だな」「ここへ来たのは、お世辞をもらうためでも、式典に出席するためでもない」サラディンは強く言う。もう腕を伸ばせばバルスに届く距離だ。サラディンは物怖じせずに彼を見上げる。「どうやって進めたい?」バルスはサラディンの目をじっと見てから、大きく鼻を鳴らし、感謝の笑い声を響かせる。「作戦指令室がある」彼はより砕けた口調で言う。もはや自慢も、胸を叩くこともしない。「ハイヴ船の動きを追跡している。火星のアノマリー付近だ」「夢見る都市で、シヴ・アラスに関する動きがあった。お前も知っておいたほうがいい」サラディンが答える。「案内しろ」
※計算式不明瞭につき大雑把な値です
最新の20件を表示しています。 コメントページを参照 画像を非表示
最新の20件を表示しています。 コメントページを参照 画像を非表示