これが力の代価だ。
「ポータルを通過することの重要性は理解している――」クロウが話し始めた。 「それだけではない」オシリスが遮った。「目撃者の考えがどうであれ、最終形態を阻止するまたとない機会だ。それに加えて、これまで手の届かなかった次元で因果律超越を研究できる機会でもある」 「わかった、わかったよ」クロウは口を挟んだ。 ハンターのクロウはエリクスニー居住区でスパイダーの船の荷降ろしを監督していた。ハウス・オブ・ライトの労働者が、貨物クレートをエリクスニー製の精巧な台車に載せ、倉庫に運んでいる。本来こうした仕事はクロウの管轄外だが、スパイダーが忠実に職務を全うするかは怪しかったため、クロウの出番となったのだ。オシリスは後方から、その喧騒を淡々と眺めていた。 「理由なら全部聞いた」クロウは続けた。「どれも理にかなっている。ただ…」彼は少し黙り込み、本題に入るための無難な表現を探そうとした。 「サバスンか」オシリスが応じた。その声は不吉な色を帯びていた。 「ああ」クロウは答えた。彼は力なく首を横に振った。「我々は奴を始末しようと懸命に努めてきた。そのあらゆる経験や、お前が乗り越えてきたことを踏まえてもなお、奴を… 連れ戻すというのか?」 マスクの下で、オシリスの口元は固く結ばれていた。彼はこの状況にひどく苦痛を感じていたが、自身が抱いている疑念をこの若いハンターにまで植え付けるつもりは毛頭なかった。 再び口を開いた彼の声音はいつもと変わらず滑らかで、落ち着いていた。「ガーディアンは人類を守るためなら、自らの命に限らず多くの犠牲を払う。それは仲間やゴーストだけに限らない」 「我々は心の平安を犠牲にする。多くの意味で、それは我々にとって最大の損失だ」オシリスはセイントの懸念を想像しながら、そう言った。「だがそれは、我々の有する知識、そして我々の振るう力の代償なのだ」 「わかっている」クロウはため息をつき、アマンダのいなくなったハンガーの光景を思い返した。「わかってるよ」
※計算式不明瞭につき大雑把な値です
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