「今や問題は、撃つか撃たないかだ。どこを狙うかは重要ではない」――オシリス
力を誇示する戦利品を獲るための狩りだった。バロン・スパイダーの貴重な配下(真の忠誠心を表す者に与えられた称号)の1人が、行方不明となった。スパイダーは裏切られたのだと疑った。彼はクロウに現場に向かい、何かしらの答えを持ってくるように言った――忠誠心を促すことができる何か、壁にかけて飾れるような物が欲しいと。クロウは配下の行方を入り組んだ岸辺の未開の隅まで追跡した。だがやっとのことで山頂にたどり着いた時、予想どおりのものを目の当たりにした。道は黒い玄武岩から荒々しく飛び出た結石で終わっていた。シヴ・アラスの囁きがスパイダーの配下をまた1人とらえたのだ――最後にとらわれた者や、その前に犠牲となった2人組のように。だがスパイダーが言うように、彼は仮定の話に興味などない。確たる証拠が欲しかったのだ。クロウはルアーを手にした状態で結石の影で膝を付いた。細かい青い砂には最近のものであろうエリクスニーの跡があった――十数以上いたらしい。彼の手に負えない数ではない。ベルトから濃縮したエーテルが入った小瓶を取り出し、ルアーに差した。容器の中の魂の炎と混ざるたびに混合物が泡立った。ルアーの薄い金属のケースが結露した。地割れに設置して放出量を調整し、濃いフェロモンの霧がルアーから流れるのを眺めた。彼はグリントの方へ手を振り、2人は岩の高台へと向かった。改良されたショットガンのコンプレッションをいじって膝の上に置き、最悪な瞬間が来る準備をした。結石が邪悪な説教を放送するのを聞かねばならない。尖塔の存在感が肌をピリピリと刺激する。クロウはグロテスクなトーテムがねじれて音を鳴らすのを見ないようにしたが、脈動する光が視界の外にあるとひどく不快になるのを感じた。まるで自分が狩られているような気分だった。クロウは静かな夜警を続けながら武器の照準を調節した。緊張感が彼を疲労させる。塔からは脈打つ圧力の波が発せられている。目が痛い。彼は自分の呼吸に集中した。グリントは奇妙な苔のかたまりをスキャンするために近くの岩まで飛び、クロウは頭の中で増幅している不快感をなだめるために目を閉じた。囁き声が彼を包む。心臓のちょうど上あたりの自分の胸を何かが撫でているかのように感じた。柔らかで嗅いだことのあるような香水の香りがする…「クロウ」グリントが声をかけた。クロウの目がパッと開いた。「来ました」エリクスニー・ラスボーンの集団がルアーに接近している。その中の1人がハウス・オブ・スパイダーを象徴する羽根飾りを付けている。動きはまとまりがないが、シヴ・アラスに従属することで付与された厄介な力を保有していた。「もう彼らに自我はない」クロウは苦々しく言った。ラスボーンが結石を見つけた。取り乱した様子でわめいている。怒りが増しているようだ。声を激しく破裂させるように発し、この世を超越した力でルアーの周りの地面を割いた。クロウがいる高台の前を過ぎた個体がおり、その姿がはっきり見えた。濁った眼、よだれを垂らした顎、そして陽炎のように怒りのオーラが身体を包んでいる。残りの集団へと突進し、一定のリズムで発せられる怒りの雄叫びが他のものと合唱するように響いた。「歌っています」叫ぶ集団への好奇心を抑えられずにちらりと覗き込みながらグリントが囁いた。「文法はおかしいですが、訳せなくは――」「やめてくれ」クロウが言った。「頼む」彼は武器の照準を覗き、仕事に取り掛かった。
※計算式不明瞭につき大雑把な値です
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