Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

彼らは欠けた月に戻る。その目が探している。まだ始まったばかりだ。音と怒りに満ちた嵐に立ち向かえ――その雷鳴が鳴りやむまで。

「嵐使いの話をしてよ！」ケリキンが叫んだ。
彼女は彼を黙らせたいのをぐっと堪えた。彼は先ほど丘の上から紫色のもやが立ち昇るのを見たという警告を知らせてくれたのだ。おかげで皆を塹壕へ集めることができた。子供たちの中で一番年長の彼は、すでに何度か突然の雷を経験していた。
「分かった。皆、集まって。大きな声を出さなくて済むように近くに寄って。
昔々、略奪者たちは冬が来るたびにやってきたの。襲撃にきてはその年に蓄えておいた食料をほとんど奪い、村の多くの人たちは飢えに苦しんだ。でもやがて春が訪れ、作物を植える時が来て、新たな夏がやってきた。秋になると、今私たちがやっているのと同じように収穫をする。毎年、さらに多くの食料を蓄えて、略奪者が戻ってきた時に備えて、より注意深く隠したの。
予想どおり彼らはまたやってきた。そして私たちが冬を越したことを知ると、食料を探すためにさらに激しく争い、隠していた分をほとんど持って行かれた。そんなことが長すぎるくらい繰り返されてきた。いつも私たちから奪うだけで、見返りは何もなかった。
そしてある秋の夜、ものすごい轟音が響いた。最初は雷かなと思っていたけど、村に来た略奪者たちの部隊だった。予想よりもずっと早く襲撃に来たの！
新しいリーダーがいたのかもしれない。もしかしたら収穫まで待ちきれなかったのかも。なぜ早く来たのかは永遠に分からない。
なぜなら、略奪者たちが村を襲おうとしたその瞬間、青白い雷が彼らを貫いたの――ドーン！ 村人たちの視界が晴れた頃には、ローブを身にまとい、鉤型の杖を振り回している仮面を付けた見たこともない人が、略奪者の大半を殺してしまっていた。手に持っていた武器を使い、彼女は雲から雷を引っ張り、略奪者たちへ投げつけていた。
彼女は人間とは異なる存在のように見えた。彼女の姿を見た者は、目にもとまらぬ速さで移動して、一歩踏み出すだけで誰よりも高く飛ぶことができたと言った。でもやがて、略奪者たちは彼女を囲み、彼女は銃で撃たれて倒れた。
でも、彼女が他とは異なる点はそれだけじゃなかった。嵐のカラスがいたの。カラスは彼女の肩の近くを飛んでいて、彼女が倒れた時は彼女の身体を見て、その視線を受けた彼女は再び立ち上がった。
次に彼女が杖を空に向けると、彼女の命令に従い、雲が移動した。落雷が村中を襲い、村人は慌てて逃げた。家にいるのは危険だった。この塹壕みたいな地下の貯蔵庫しか安全な場所はなかった。
雷が鳴り終わるまで、誰も地上に上がらなかった。略奪者たちは全員倒れたか、村から逃げた。3度の冬が過ぎるまで、誰も村に戻ってこなかった。そして今、略奪者たちは私たちの村の外でしか襲ってこないようになった。
だから、丘から紫色の霧が上がるのが見えて雷が聞こえてきたら、避難する合図だと思うこと。そして村で轟音が響くのが聞こえたら、私たちの身を守るために戻ってきた嵐使いかもしれない」
雷が再び鳴ったが、怖がる子供の数は少なかった。全員が不思議そうな顔つきで天井を見上げた。