Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

「あなたの友…」

切断レーザーが霜に覆われた鋼鉄に火花と溶けた鉄を浴びせる。光はオレンジ色に輝き、押しよけられた隔壁は大きな音を立てて室内の地面に落ちた。その衝撃で天井のつららが室内に雪のように振り落ちてきた。
ミカ10はまだ発光を続けている穴に足を踏み入れ、突破口の先にある氷に覆われた施設を見渡した。そこは氷漬けにされた狭い脇道や瓦礫に塞がれた廊下、そして今なお動き続ける大崩壊以前の機械類のある迷路だった。
エウロパにあるこの施設の中枢に入ってから1時間が過ぎ、ミカのゴーストが光の閃光とともに彼女の肩の隣に現れた。「動力管はこの先にある部屋に集結しています」彼女はドアに光を当てて言った。ドアを覆う霜が煌めいた。
「ありがとう、ミハイロワ」ミカが優しくヘルメットでゴーストを小突いた。落ち着いた手つきでドアから霜を削ると、表面に刻まれたブレイ・テクのロゴがあらわになった。ミカはミハイロワと不安げな視線を交わすと、凍ったドアを剛力でこじ開け、データセンターに足を踏み入れた。
棚の実行可能なデータをスキャンし終えるだけで数時間が経過し、その中から破損ファイルとデータを回収できそうなファイルを分別するのにさらに時間がかかった。だが彼女はデータを漁りに来たわけでなかった。アーカイブのスキャンを続けるミカとミハイロワの体に霜が降りていた。何千ものファイルを処理し、インデックスが機能していないひとつのファイルを探す。干し草の山に埋もれた針を探すようなものだ。そして、ついに…
ミカが小さく息をのみ、彼女のゴーストは捜索の終わりを悟った。ミカはすぐさま首の後ろからケーブルを引き出し、アーカイブと接続するためにケーブルを伸ばして探し続けていたファイルを読み込んだ。彼女はこのファイルが見つかることを切望していた。このファイルに答えがある。彼女の答えが。
===============
エクソマインド・プロジェクト
ファイル：［インデックス破損］
年齢：17、性別：女、身長：167cm、体重：54kg、身分：A6(住民)
=================
ミカはちらつきながらファイルを表示する画面の上に手を置いた。一生涯の部分的な記録、過去の断片、彼女の一部。人格のかけら。自分自身。ミハイロワに初めて呼び起こされた時からずっと見てきた彼女の夢の答え。それを知ることが禁じられていようが関係ない。
「初めまして…」彼女は囁き、ダウンロードを始めた。「ミカ・アブラムさん」