Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

自分で終わりを決められるのなら、大胆に逝け。

彼らに残されたアンダル・ブラスクの遺品はクロークだけだった。シロウ4は指で布を擦り、その生地を感じられる肌さえあればと思った。
「人間の手で何かに触れるのがどんな感覚だったか覚えてるか？」彼はケイド6に聞いた。
「お前の手も人間の手だろうが」ケイドが存在しない歯で言葉をすりつぶしたような低い声で答えた。それから長い間、シロウとケイドがエクソの生活について話すことはなかった。
代わりにふたりは最後の死を遂げた男について話した。彼の勝ち誇ったような笑い。彼の賭博の借金を額と、友人たちの中で誰が弁済するか。秘密の恋人がシティにいたかどうか。そして、もしいたとしたら、どのような相手なのか。
「アンダルは心情の秘密を持つようなタイプじゃなかった。お前もわかってるはずだ。彼は大胆に生き、大胆に愛するような男だった」とシロウ。
ケイドが酒瓶を掲げた。「そして奴は大胆に死んだ」
シロウが同意し、酒を飲んだ。味がするかどうかや、そもそも彼らには酔うことができるのかという話はしなかった。だが、ケイドがアンダルのクロークを羽織ったとき、それは彼が寒かったからではないということだけは確かだった。
シロウがニヤリと笑った。「なかなか似合っているな」
「そりゃよかった。脱ぐ気はまったくないからな」