「いまや我々に残されたのはこの信念だけだ」 骨化した住処に入ると彼がそこにいた。 トラベラーの方を向いて頭を下げている。その声は小さい。だが聞き取ることはできる。聞こうとすれば誰にでも聞こえるはずだ。 彼は反応を待ち、私も同じように、緊張し、探るように、次の動きを待った。彼は人間に忠実な犬のように、じっとそこに立っていた。私にとっては一瞬だが、彼の中では静かに這うように時間が進んでいた。 問いかけに応じた場合に備えて、私はトラベラーを黙らせる準備をした。だが何も起こらない。手すりを握っていた彼の手に力が入る。 彼の中で何か変化があり、新たな可能性が姿を現したのを感じた。 ✱✱ 私は再び眼窩に圧をかけた。それに反応し網が静かに軋む。 誰かが近づいてくると、彼はトラベラーに背を向けた。何かやり取りが行なわれ、興奮した赤ら顔がそれを覆い隠した。 報告を受けた彼から希望が漏れ出ている。彼はその使者に彼の信頼の証を渡した。相手はその意味も分からずにそれを受け取った。 彼はそこから去って行く使者の姿を見ている。彼の中心に空洞が存在している。実に美しい。 ✱✱ 私は再び注意深く観察した。 彼の姿は見えない、だが声は聞こえる。彼は悲しみに満ちた声で全ての者に話しかける。 私は自分がどれだけ後戻りしたのかを知る必要がある。私は恐る恐る彼に手を伸ばす。力強く。私はさらに押した――あるのは柔らかく腐敗した感触だけだ。 私は喜びに満ちている。それは彼らに答えを与えなかった。それは反射であり、物言わぬ筋肉の痙攣だった。 私の中で喜びの歌が鳴り響く。 今がその時だ。
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