Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

「トラベラーの中に入れて一番良かったこと？ 議論で優位に立てるってことかしら」――ゴーストのピーチ

天窓からオシリスの作業場に日の光がさしていた。セイント14は換気をするために、日頃から天窓を開けることを心がけていた。そして閉めるのはいつだってオシリスだった。だがそうすると、再びセイントが天窓を開けるのだった。
近頃のピーチはシティの内部で時間を過ごすことが多かった。彼女は外からこのドラマチックな展開が繰り広げられるのを今までに何度も見ていた。遠くから見ても、傑作のコントだ。
だがもっと近くで見たくなった。彼女は窓から入って降下していく。
オシリスの両手の間には、光る緑の糸があった。その周りに、繊細な青い氷柱の列がゆっくりと生成されていく。まるでイコラ・レイがつくる暁旦の装飾を小さくしたみたいだ。
ピーチはオシリスの肩の高さまで降りていった。
氷柱が割れ、糸がちぎれた。オシリスはため息をつく。
ピーチは我慢することができずに話し始めた。「残念ね。でも次はきっと上手くいくわ」
オシリスは蝶々を追い払うように手を振り、びっくりしたようにパッと振り向いた。「お前――誰だ！？」
彼の顔がバンダナと同じ色に変わった。あまり健康には見えない。
「心臓発作中？ 助けを呼びに行こうか？」ピーチは救急療法を知らなかった。今の今まで必要性を感じたことがなかったのだ。
「違う！ お前は誰だ？ どうやって中に入り込んだ？」
「私はピーチ」ピーチが言い、気前よく付け加える。「私、結構有名なのよ。今度調べてみるといいわ。心臓発作じゃないんだったら、あなたが暗黒で遊んでるのを見ててもいい？」
「なぜだ？」
なぜかと言われると、最近ピーチはシティの外でゴーストに起こりうることを考えるようになっており、自分の無力さを感じることにうんざりしていたからだ。
「知的好奇心、とかじゃダメ？」
「ダメだ。出ていけ」オシリスは閉じられたドアを指さした。
「わかったわよ。勝手にすればいいわ」そう言い、ピーチは視界から消えた。
またいつか戻ってくるのだから、オシリスにどうやって入り込んだのかは教えないほうがいいだろう。
きっとここから美しい友情が芽生える。芽生えなかったとしても、暇つぶしにはなるはずだ。