Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

旧版伝承
私の牙は甘い果実を腐った下品なものに変える。
どこからともなく矢が飛んできた。プラスチール製のアーマーを、まるで紙で出来ているかのようにいとも簡単に貫通し、そのまま彼の肩を貫いた。

トラッカーには敵の痕跡はない。ならばどこから——

2本目の矢はさらに威力を増していた。もう片方の肩を貫き、間接を串刺しにした。彼は頭を傾げ、肩甲から飛び出る矢先を見ると、真面目な顔でフッと笑い木々のほうに視線を向けた。リーフの小惑星にはこれといった隠れ場所はなかった。植物や動物を育むためにテラフォーミングされた区画であれ、それは変わらない。ならば狙撃手は——

3本目の矢が太腿を貫いた。彼は大声で笑った。

「トランスマットしますか？」彼のゴーストが、頭に響く小さな声で提案した。

「いいや。売られた喧嘩はきちんと買わなくてはな」

武器を持ち上げ身を守ることもできず、かといって光で自分を回復したらゴーストが犠牲になってしまうかもしれない危険があった。シャックス卿は狙撃手がいるであろう方向へと、よたよたと歩いて近づいた。

これはバリスタによる攻撃だと彼は推察した。暗黒時代の兵器だ。これほどの威力のものとなると、他に考えられない。

彼がよろめき歩くと、近くにいたアウォークンの女が林床から立ち上がる素振りを見せた。彼女を覆っていた迷彩を脱ぎ捨て、直立した。彼は歩みを止め、見つめた。背丈は自身と同じくらいか、あるいはわずかに向こうが上だった。そして彼女の弓(単なる弓だ！ なんの変哲もない普通の弓だったとは！)は、確実にこちらの背丈より高かった。

「ここはアウォークンの縄張りだ、ガーディアン」と彼女は言った。「名を名乗れ」

「お前は誰だ？」と彼は驚愕しながら聞いた。

「私は『女王の怒り』だ。名を名乗れ。3度目はない」彼女は弓を構えて力の限り弦を引いた。

彼は驚きを隠せなかった。どう見てもただの弓だ。しかも彼女はどこにでもいるただのアウォークンの女だ！ なのにこの威力とは！「まるで嵐だな」彼は静かに言った。

次の瞬間、彼女は彼を殺した。

美しい友情の始まりだった。

私の牙は甘い果実を腐った下品なものに変える。
「シャックス卿、ご所望の品です」バイストの代表者が2本指を近くにいるフレームに向けた。フレームはそれを合図にテーブルの上に置かれた金属製のスーツケースを開ける。
「本来のデザインに似ていますが、我々のエンジニアチームが何点か改良を加えました」彼女は上質なジャケットの襟に付いた糸くずをつまみながら言った。
シャックスは梱包材にしっかり収まった小型のサブマシンガンを調べた。武器の側面を見ただけで、肩に突き刺さった矢の鋭い記憶が蘇ってくる。
「素晴らしい」彼は小声で言った。「彼女も気に入ったことだろう」
一時だけだったが、元ウォーロードは物思いにふけっているようだった。感傷に浸る伝説のタイタンの珍しい光景を目の当たりにしたバイストの代表者は微動だにしなかった。しかし、しばらく考えた後、代表者はこの機会を活かすことにした。「女王の怒りの前任者は素晴らしい方だったと聞きます」彼女が言った。
シャックス卿が瞬きをすると、その瞳から優しさが消えた。彼はケースをバタンと閉じる。
「エンジニアに気に入ったと伝えておいてくれ」彼はぶっきらぼうに言った。