Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

切っ先から柄まで鋭く砥がれ、戦争という儀式への参列者全員から搾取する。

ケルゴラスが人影のない宮殿にある、貧相な祭壇の前に跪いた。死んだナイトの領域だ。縮みあがり、血肉を失った殻。それは訓示だった。
ウィザードが祭壇の上を漂っている。「上級執行司祭の領域はかつて、敬愛を示すべき偉大な場所だった。そこには大いなる捧げものが残されている」軍事参謀のウィザード、ラクスリンがナイトにシヴ・アラスの誘惑を囁いた。
ケルゴラスは、空を求め、傀儡となったサバスンのことを思い出した。剣と血の魔術を失墜させるためだけに。「恩情は薄れるが、再燃させることもできる」
「お前は戦う術を奪われ、屈辱を受けた。光の使い手に何度も打ち負かされた」
ケルゴラスは立ち上がり、振り向いてラクスリンと顔を合わせた。彼はかぎ爪をウィザードの喉元に突きつけるが、彼女はそれが届かぬよう、後ろに飛びのく。
ケルゴラスがあざ笑う。「私に刃など必要ない。私自身が刃なのだ。まとう甲冑は切っ先のように鋭い」
「ならば、サバスンの下で奴の光を授かるように祈るべきだったな… そうすれば、いずれ偉大な力を手に入れることができたかもしれない。お前は奴の恩恵なしでは衰弱する」
「ウィッチの姉など下等だ！ 私は戦争の道具なのだ！」
「まだだ。まだ真の道具にはなってはいない」
ラクスリンは闇の稲妻を呼び寄せた。稲妻は部屋の薄明りを吸収して祭壇へと落ちる。祭壇は木のように裂け、翠玉色の細い刃の断片をあらわにした。その刃からは影と囁くような歓喜が溢れ出る。「邪神の刃の破片だ。愛をもって征服された。そして土星の影から盗まれたのだ」
ケルゴラスが刃の破片を凝視する。ウィザードは唇のない顔で笑みを浮かべ、刃を指差す。ナイトは足を前に進める。
「私はこれを取り、彼女の意志の道具となる。愛ある暴力をもって、弱さという憎しみを浄化するのだ」ケルゴラスは跪き、その爪で翠玉色の破片を掴む。その爪の間からは、幾筋もの細い影が漏れていく。「私はこの結合に身を捧げる」
彼の肉体の境界が溶けていく。そして彼のものではない意志がその身体に覆いかぶさる。
骨より蘇り、戦争に宿られしケルゴラス。