Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

山は一口ずつ咀嚼せねば。

入り組んだ岸辺の郊外での生活はかつてないほどに荒れ果てていたが、それでも残っていた数少ないエリクスニーたちは報告を聞いて確信した。この地を去る時が来た。
「ケッチまであとどれくらいだ？」クルーの山のような荷物を背中に担ぎながら腕でバランスを保っているドレッグが喘ぐように言った。
「お前が最後のパイクを壊していなければ、今頃着いていただろうな」バンダルが唸った。
突然、風に乗って小さな鳴き声が聞こえてきた。それは必死な幼子のような鳴き声だった。
ドレッグが立ち止まり、耳を澄ませた。「今の聞こえたか？」
彼が急いで先へ進むと、クレーターの底で独りぼっちの幼子が這い回りながら、見捨てられた者の歌を鳴いていた。
「幼子が――ダークエーテルに囲まれている！」ドレッグが叫んだ。
バンダルはドレッグの襟首を掴んだ。「この愚図が！ 行くぞ！」彼女は叫んだ。
だがその頃にはもう手遅れだった。血に飢えたレベナント・スコーンの集団が彼らに襲いかかった後に残ったのは、その土地に響き渡る彼らの悲鳴だけだった。
***
ひとりの全身青ずくめのリージョナリーが悲鳴をたどって荒れ果てた入り組んだ岸辺を渡っていた。その音はより大きく、必死になっていく。まるで幼子の鳴き声だ。
彼は、クレーターの底で見捨てられた者の歌を鳴く幼子を見つけた。リージョナリーは慎重に亀裂の中へ降りていき、周囲にダークエーテルが渦巻く中で抱きついてきた幼子をあやした。
上空から戦いの雄たけびが聞こえ、レベナント・スコーンの集団が降りてくる。リージョナリーは素早く1体倒し、そのおぞましい口の中にグレネードを詰め込むと、敵集団の元へと投げ返した。グレネードが爆発し、集団の破片がリージョナリーとその後ろに隠れる幼子の周りに雨のように降り落ちてくる。
最後のスコーンが背後からリージョナリーに襲いかかってきた。彼は地面に押し倒され、その反動で武器が手から離れる。悪臭を放つ怪物は飛びかかろうとしたが、突然動きを止め、痛みの咆哮を上げた。リージョナリーが振り返ると、そこにはスコーンの足に噛みつき、その肉にしっかりと歯を食い込ませたぽっちゃりとした幼子がいた。彼はためらうことなくピストルを取り出し、丁寧にスコーンの頭に弾丸を埋め込んだ。
彼は無傷の幼子を優しく拾い上げ、その口から垂れている粘液と涎を拭ってから大声で笑った。
「お前が人生で初めて喰らった山だ！ 今日からお前も立派なカバルだぞ、小さいの！」