Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

どこか自分のものとは違う声。

イリークスは甲皮の下で肉が剥がれ始めているのを感じた。手足を伸ばすと、乾いた軟骨の音がした。エーテル欠乏に伴う慢性的な痛みは、鈍い轟音になっていた。彼は、アルコン・プライムかつて彼らのケッチだった残骸の上でハウスに演説する、今に意識を戻した、
「…過去のやり方はもう不要だ。それらはキール・オンの枷なのだ。与えし者はこの地で肉体の糧よりも大切なものを授けてくれた。それは魂の昇天だ」
糧があれば十分ではないのか？ イリークスは思った。我々の体は無価値なのか？ スズリンケルの指揮下では、飢えなかっただけマシだ。
「だが、我々は栄えることもなかった」そう叫ぶアルコン・プレイムの視線は、イリークスに向いていた。ドレッグが身を小さくした。まさか、聞こえていたのか？
「限りなく長い放浪では、生き延びるだけでよかった。生き延びることがすべてだった」アルコンは群衆に意識を戻し、つづけた。「そして生き延びることが我々の生き方となった。だが新時代が近づいている。与えし者と我々のハウスの復活の時代だ」
アルコン・プライムは大きな呼吸器に繋がったガラスの容器を持ち上げた。かつてそこには、白く輝くエーテルが保管されていた。今は鈍い光を放つ植物性の沈殿物で満たされている。暗黒物質だ。
「与えし者を受け入れよ。さすれば生存者以上の存在になることができる。エリクスニーを超えるのだ」
やがて、地面でのたうち回り、甲皮の節々から発光する水ぶくれが湧き出るイリークスは体に暗黒物質が循環するのを感じた。無意識で、不明瞭で、力強い。彼の満たされない飢えは忘れ去られた。
だから言っただろう？ イリークスは自分のものではない声で思った。与えられしものを受け取り、昇天するのだ。