Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

ヴァレンスが薄れ、残響の本質が明らかになっていく。

イコラはデータパッドを降ろし、オフィスのホロプロジェクターの方を向いた。窓の外では、小さいトラベラーのポータルの端でヴァレンスが輝いていた。
今ではオーラは弱まり、ヴァレンスは薄暗くなっていた。異常現象を生み出す異常現象。目撃者が死んでからしばらくの間、ヴァレンスはきわめて不可解だった。
目撃者は非常に複雑な存在だった。奴は暗黒によって形作られた唯一無二の存在だったが、その暗黒はさまざまな精神を内包していた。その精神のほとんどは目撃者の本来の種族のものだったが、暗黒には他の記憶も隠されていたのだ。それぞれが特異であり、それぞれに遭遇の記憶があった。黒き艦隊に立ち向かうひとつの記憶もあれば、自らの影に飲まれる惑星の記憶もあった。
イコラは主に記憶から形成されている残響の本質について考えた。エラミスが持っている残響には、リースの記憶があったが… その時、唐突にある疑問がイコラの頭をよぎった。あの残響は、惑星そのものの記憶なのか？ リースに繋がっている重力井戸なのか？ 彼女はデータパッドにメモを残した。マヤの残響がどの記憶を保持しているのかはまだわからない。そして奴もいる。誘導者の残響が。
イコラが不快な笑みを浮かべた。彼女は奴に会いたいとは思っていなかった。残響から得られるものもあるかもしれないが、リスクを考えると割に合わない。彼女は他にも残響が存在するという考えに顔を歪ませた。そうだとすれば、すべて見つけなければ。
イコラはプロジェクターの電源を切り、データパッドを拾い上げる。彼女の計算が仮定を裏付けた。もうヴァレンスに秘密は隠されていない。ヴァレンスからはいくつもの残響が放出されたが、不活性化した今となっては、ただキラキラと輝き続けるだけだ。
ヴァレンスの輝きが弱くなっているのはいい兆しだ。飢えた世界に落ちてくる武器は少ないほうがいい。イコラは秩序の安心に肩の力を抜き、ため息をつく。
突然のビープ音が彼女を瞑想から呼び覚ます。
センサーの様子がおかしい。誰かが連絡を取ろうとしている。