Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

「剛直であること自体が美徳だ」――スロアン

彼女は取り囲まれていた。彼らは彼女を憎んでいたが、それは直感的な量子状態によるがらんどうな憎悪だった。
彼女はそれを理解できた。なぜなら、彼女にもその憎悪があったからだ。
彼女は自分ができる限り大きな的になるように、正面から彼らに立ち向かった。その肩甲は、うごめく数多の口でできた海の中で輝いていた。
一番近くにいた敵が飢えに耐えきれず、餌に食いついた。
彼女もその飢えを知っていた。彼女が共感しながら身をわずかに逸らすと、黒くて棘のある付属肢が頬をかすめ、アーマーを纏った彼女の肩に当たって火花を散らせた。
宿られたスロールは体勢を立て直すのが間に合わず、彼女のロデリック Cに脚と思われる突起物を粉々にされ、もだえる顔を彼女の銃口の直線状に落とす。
スロールの死が彼女のピストルと共鳴し、その体は分子単位で粉々に砕かれたが、それでも彼女に向けられた飢えは残り続けた。彼女の周りにいる影も同様に飢えている。彼女はそれを理解できた。なぜなら、彼女にもその飢えがあったからだ。
彼らとは違い、彼女はその飢えを制御することができる。彼女は仲間になれと誘惑する影のひとつひとつに銃口を向け、発砲する。彼女は身を逸らし、しゃがみ、数えきれない隙を見ながら決意を固める。彼女は無慈悲なプラスチールに包まれた骨を渦中に投げ入れる。召喚された脳幹に銃弾を撃ち込み、真実で感情を散乱させる。
スロアンは決意を持つことでタイタンから生還することができた。決意さえあれば、まだ生きている者たちと共に乗り越えることができる。エリスはもう救うことができない。そして、この生きた怪物船の奥深くで、どこかへ逃げ去ってしまった放浪者も手遅れかもしれない。
彼女はゆっくり振り向きながら標的を探す。知性を持つ影が検知できなかった彼女は、ガントレットに搭載されたスイッチを入れる。
「着陸地点は確保した。ドレッドノートのパトロール隊を送ってくれ。進行するのにどれだけ時間がかかろうと、この船を必ず占拠するぞ」