Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

戦闘の跡の生々しい甲板で分け前が新たに分配された。

イティクスは打ち延ばされた鋼や捻じ曲がった針金で埋め尽くされた巣の中でしゃがむ。そしてためらいがちにその爪でレリックを掴み、耳をそばだてた。
辺りを囲む虚空の負荷でボルトが捩じれ、船体からは古びた金属が軋む音がする。自分が組み立てた船なのだから心配する必要はない。スクラップ加工はエリクスニーたちにとっては当たり前のことであるが、イティクスにとっては己の天賦の才を発揮すべき対象であった。
大嵐のあと、準備もそこそこに先んじて大いなる機械を追って出発した数々の船。彼女は仲間と共に、それらが残していった残骸の痕跡を辿っていった。それはまるで、金属が語りかけるかのようだった。ゴミを掻き分ける彼女に、金属が自分のなりたい姿を主張し、その定めを囁いたのだ。
彼女と彼女の率いる船は、次第に先駆者たちの残骸によって補強され、強化され、さらに強大になっていった。
だが、これは――この漆黒の容器の中に浮かぶ繊維状の暗黒の塊は――今なお時折光を放ちながら、自らの声で彼女に語りかける。
その狂乱に満ちた囁きに耳を傾けようと集中すると、その言葉は彼女自身の定め――否、万物の定めを伝えてきた。
それが約束する未来を、彼女は気に入らなかった。