Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

人生最高の夜はまだ始まってはいない。

卒業論文は手元にあるわけではなかった。中央アカデミーのサーバーにはアップロードしてあったが、ネットワークの接続は… 不安定だった。不安定どころか接続されてすらいないと言っても過言ではない。だが心配ない。カドガンは自分の研究を熟知していた。論文そのものではなく、研究の象徴となる何かがあればいい。「ジャイロスコープはどうだろうか？」彼は空いた手をそわそわと動かしながら助言者に聞いた。「準備するのは比較的簡単なはず…」
「もっと簡単な方法があるわ」彼女は言う。「ケプラーに関連する研究なら、惑星そのものを研究の象徴にすることができる。前例だってあるわ。あなたの卒論は重力の操作についてよね。重力は惑星体によって生み出されるものだから… 問題ないんじゃないかな」
彼は彼女の話を半信半疑で聞き、手元にある廃材で作れそうな縮尺模型がないか調べにいった。包囲攻撃や占領は神経がすり減るとと同時に退屈でもある。何かやることがあったほうが、手も心も少しは落ち着くだろう。
卒業式が挙行されるかどうかも疑わしい。ここからだと、円形会場はとても遠いように思えてくる。彼も式の流れはちゃんと把握していた。審査は厳粛かつ徹底的にされ、学監自身が彼の論説を厳しく問い詰める。そして、彼が妥当性を示すことができれば、彼女は彼に笑いかける。
その後は祝賀会だ。厳粛な熟考は勝利と喜びに代わり、彼は一人前の科学者として、先祖の船から作られた最初の道具を学監から授かる。彼はその道具を片時も手放さないだろう。
カドガンは手の中にある道具の重み、そして音楽と踊りと空の星々の優雅な回転の下で同胞たちに認められた時の喜びを想像した。
喜ぶのは夢を実現した後だ。彼は唇を噛んで自分に言い聞かせる。これ以上待たされるのは辛すぎる。彼は異星人たちが助けてくれることを願った。