Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

かき消したような跡があるが、バレルには文字が刻まれている。「誕生日はただの数字だ。この日を誕生日にしたらどうだ？」

アマンダ・ホリデイは壁にレンチを投げつけた。金属と金属のぶつかる鋭い音で彼女の怒りが強調される。彼女は肩を上下させながら、静かにゆっくりと深呼吸した。
軽く息を止め、一気に吐く。目でレンチの表面にヒビが入ってないか確かめながら、慌ててレンチの穴に触れた。彼女はカチカチという音が聞こえることを願いながらラチェットを回した。だが何も起こらなかった。どちらの方向に回転させても、歯車は回らなかった。
「最悪」アマンダは怒りを露わにすると、手のひらの付け根で目をこすった。「ああ、もう！」
彼女はレース用ヘルメットが足下にあることに気付き、ガレージの向こう側まで蹴飛ばした。
アマンダの周りにあるものはどれも、彼女の無知を痛烈に思い起こさせた。バレルにメッセージが刻まれたカバル製の青と白のオートライフル。彼女のお気に入りのラーメンバーと観光名所の数々に印が付けられたシティの地図。ハーコンの絶壁にある古い競技場の座標を取り込んだデータパッド。彼女とニークの共同作品である、エアブラシで黒と白の翼が描かれた完成間近のスパロー。
「なんなのよ」アマンダは小声で言った。彼女は背中を壁にぶつけると、そのまま壁に体重を預けてゆっくりと地面へと崩れ落ちた。彼女はガックリとうなだれ、隣にあった冷たいスパローのエンジンの上に頭を乗せた。足を胸元まで引き寄せ、膝と膝の間に向かって悪態をつきながらその間に顔を沈めると、やがて上下に肩を震わせ始めた。
彼女の友人になれそうな人物や彼女の人生に大きな影響を及ぼしそうな者はたくさんいる。彼女なら大抵の運命のイタズラは乗り越えることができただろう…
…それなのになぜ、彼なのだろうか？