「共に行こう」
灰色バトのエンジンからせき込むような煙が放出された。始動に失敗したスラスターの回転が遅くなっていく。「最後のこのボロ船を点検してもらったのはいつだ?」オシリスがジャンプシップのでこぼこした側面を手でなぞりながら言った。「いや、そもそもこの船を最後に飛ばしたのはいつなんだ?」セイント14がコックピットから聞き取れない言葉を叫び、何かを叩く音がしてから弱々しいエンジン音とともに排気口から埃っぽい煙がブスブスと放出された。オシリスは喉の奥で小さな音を出し、しゃがんで片翼の下に移動した。「よしてくれ」オシリスが階段に足を乗せるより早く、セイントが早口で彼を制しながらコックピットから姿を現した。「新しい船が必要だな」「よしてくれと言ったのに批判したな」セイントがブツブツ言いながら階段を下りてきた。「この船はちゃんと飛んでくれる良い船だ。しばらくぶりでちょっと… 寝ぼけているだけなんだ」オシリスが指で油圧装置をなぞる。「ちょっとだけな」彼は冗談めかして言い、すぐ傍にいたセイントが愛らしい目で彼をにらみつけた。「ミス・ホリデイなら――」彼は黙り込み、視線を落とした。「ああ、そうだったな…」「他に任せたいと思える者がなかなかいなくてな」セイントが言い、オシリスに近づいて彼と指を絡ませた。「そして… 自分で船の面倒を見る暇がなかった」オシリスが彼に近づき、空いた手をセイントの胸当てに添えた。「だが、時が来たら、ザヴァラの招集に応えられるように備えなければならない」オシリスがセイントの目を見つめながら首を振った。「ふたりで応えるんだ。もう二度と私を置いて別次元を彷徨わせたりはしない」セイントの胸に添えられた手が握り拳になる。「そんなのは二度と御免だ」セイントは反論したかったが、彼はこの戦いに勝ち目がないことを知っている。代わりに彼はオシリスの手を引き寄せ、その拳にキスをした。「そうだな」
※計算式不明瞭につき大雑把な値です
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