Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

世界に折り目を付ける。

放浪者はハイヴ船の薄暗い船内を歩きながら、生体エネルギーで脈動するさまざまな生物システムを横切った。
通信から一番仲の良い（最後の）友達が意志の力だけでキチン質の体を引き裂く音が聞こえてきた。船とその住人たちはお取り込み中のようだ。
彼は躓きながら肋骨のような柱の間を抜け、わけのわからない声を発しながら成長し続けている何かの横を通り過ぎたが、特に注意を向けられることはなかった。
放浪者は驚いている自分に驚いた。
ゴーストなき者たちと一緒にいるべきだった。彼らとなら気が合う。明日があるかどうかもわからない彼らに愛着を持つことはほとんどなかった。神々など放っておけば良かったものを。
彼は自分で決めたルールをすべて破っていた。
彼は船でけん引している「ホール」と呼ばれる忌々しい機械と、所有する物すべてを代わる代わるに思い浮かべた。シティにあるアーティファクトなら役に立つかもしれない。クリプトアーキが保管している目撃者の残響はどうだ？ 思い切ってナインの借りを返してもらうか。だが、彼はすでに気づいている…
彼にはどうすることもできない。
喪失はこれまでにも経験してきたが、これは他とは違う。
彼はいつまでも歩き続け、ようやく船首と思われる場所にたどり着く。ここからなら、かつて王の亡骸が漂っていた土星を一望できたのだろう。今は星もない闇に包まれた虚無しかなかった。
虚無なら彼の中にもある。それが痛みなのか、怒りなのかは彼にもわからない。
だが彼はそれを手放さない。彼女は、それすらも失ってしまったのだから。