Destiny2 デスティニー2 まとめ Wiki

言葉や武器において、正確性の欠如は命に関わる。

ミスラックスは窮屈なバザールの道を人混みをかき分けながら進んだ。タワーに辿り着いた彼は、まるでサイズの合わない世界に入り込んでしまった生物になったかのような居心地の悪さを感じた。まさに今の彼の状況がそれだった。
背中に手を伸ばし、崩れた壁に引っかからないようにエーテルチューブをたぐり寄せると、肘が何かを強く打った。
彼の精神が突然、激しい苦痛に満たされた。それは腸が煮えかえるような怒りだった。
ミスラックスが見下ろすと、女帝カイアトルの軍服を着たサイオンが、痛みに顔をしかめながら目をこすっていた。
「すまない」ミスラックスは丁寧に言った。「ハイヴと戦っているガーディアンを支援しているのはお前だな」
サイオンは彼を見上げると、申し訳なさそうに頭を下げた。すぐにミスラックスの精神から先ほどのビジョンが消え去った。
「私はミスラークス。ハウス・オブ・ライトのケルだ」ミスラックスは胸に手を当てて言った。
サイオンは動きを止め、自分の胸とミスラックスの頭を指差した。返答を待つように、その手は開かれたままだ。
ミスラックスは同意するように頷いた。彼の精神内に、点在するいくつものオレンジ色の立方体と、らせん状に連なる真っ黒なヒレが映し出され、そこを未熟な果実を噛んだ時の充実感が満たした。
ビジョンが消えた。「それが本当の名前か？」ミスラックスが質問した。サイオンが浅く頷いた。
ミスラックスは笑顔を浮かべた。「ガーディアンたちがお前を単純に“サイオン”と呼ぶ理由が分かった」と彼は言った。
ミスラックスの精神を複数の黄色の飛行機が滑らかに通り抜けた。それは笑いだった。
ミスラックスが道を空けると、サイオンが彼の横を通り抜けた。その時、最後のビジョンが見えた。喜びに満ちた温かい輝き。戻ることを約束して消えていく。
「そちらも元気で」ミスラックスがそう言うと、サイオンが角を曲がって姿を消した。