これはいわば方程式だ。お前が消えれば私が称えられる。お前が倒れれば私が強くなる。
スジャリはアメジスト色の乱気流の中を仰向けで流れていた。
意識を集中させて冷静さを保つことで、次元の狭間の魔術の流れに身をとどめようとした。姿を見せないように。ハイヴに気づかれないように。
周囲にハイヴを感じる。その禍々しい存在がレイラインに負荷をかけ、潜在空間の入り口が実体化するのを待っている。
エネルギーの爆発でラインから投げ出された後にたどり着いたのここがどこなのか分からないが、彼らをこの場所に留め、夢見る都市から… マラから遠く引き離しておかなくてはならない。
マラの帰還を思うと希望がわいてくる。薄紫の霧の中にマラの顔が見える気がする。
影響はかすかだがすぐに見られた。レイラインの流れが穏やかに変わり、スジャリは女王の元へと引き戻される。
彼女は一生懸命マラのことを考えないようにした。その代わりに、暗黒の次元の世界の狭間に捕らわれた、恐ろしいほどに曖昧な状態の静けさと垣間見える漆黒について思いを巡らせた。
彼女は欲し、乞う。流れが彼女を聞き入れる。流れが穏やかになり、スジャリは再びあてもなく漂う。
ハイヴを故郷へ案内するくらいなら、この不毛な領域で死んだほうがマシだ。
(説明)
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